選手の成長を伸ばしていく場合には、
大きく分けて「親の問題」「競争の問題」「将来性の問題」の3つがあります。
プロサッカー選手という世界は子どもたちに夢を与えてくれますし、夢を見ることは力になります。
サッカーをやっている選手であれば誰だってプロサッカー選手をかなえたいと願っているはずです。
でもその過程において、受け止め切れないほど大きすぎる刺激、プレッシャーやストレスが、いろんなところで弊害にもなってしまう怖さがあるのも事実です。
選手の純粋な思いを、大人がねじ曲げてしまうことだってあります。
独裁的な態度をとる親になってはいけません
適切な距離感で、我が子の良さを認め、間違いを毅然と正し、クラブの哲学を信頼し、指導法には口を出さない。
そんな考えを持っている保護者の皆様もたくさんいます。
しかし、我が子をプロサッカー選手にと、親が目の色を変えてしまうケースが増えてきているのも事実です。
みんな口をそろえて『わが子の夢をかなえるために!』と熱心に携わろうとする。
その気持ちも間違いなく持っても良いはずですが、実はそれが自分たちのエゴやプライドというものに縛られていることも多いはずです。
保護者の皆さんは、我が子を子に対する愛は尊い。
でもそれが行き過ぎるとどうでしょうか?
自分の子どもこそがナンバーワンだと信じるがゆえに、現実を見ないようになってしまう。。
そうなると、悪いのはわが子の才能を認めない指導者やクラブだという発想に陥ってしまうことがあるのは事実です。
「常に他クラブとコンタクトを取り、『もっと自分の子どもを育てるのにいいところはないか』と動きまわってしまう保護者の方々が増えてきています。
なかなか良いところ天我慢強くいることができませんし、そしてそうした周囲の大人の動きが子どもにもたらす影響は大きいです。
選手達は毎日の学校生活からくるストレスを抱えているのに、そこに家族からのプレッシャーまで加わると身動きがとれなくなる。
これが、ポテンシャルがありながらその才能を伸ばしきれない大きな理由の一つの要素に繋がるような気がします。
子どもたちの頭のなかは『やらなければならない』ことでいっぱいで、解放されることがありません。
頭ごなしに独裁的な態度をとる保護者
指導者を差し置いて子どもに指示を出す保護者
親の顔色をうかがいながら不安そうにプレーする選手を見てしまうと悲しくなります。
自立も自律もできないままでは成熟することはありません。
子どもたちのためにと思ってしていることが、やればやるほど子どもたちの成長を阻んでしまう事もあるのが事実です。
そして、そこまで“手塩をかけた”としても、その子がプロ選手になれる保証はどこにもありません。
ただ試合で競争をするだけになる
試合が、競争があると勝ちたくなるのは自然の感情です。
でもそれが目的になると「強豪の○○に勝った!」「△△の大会で優勝した!」といった結果による評価基準ばかりになりがちになってしまう。
本来育成年代ではサッカーに対する理解、それぞれの局面に対するプレー判断、状況を改善するためのバリエーション、それぞれのプレー精度の向上に取り組むことが非常に重要です。
U-12年代の成長スピードには大きく個人差がある
子どもたちがじっくりと成長するための環境作りの大切さを感じています。
ただがむしゃらに頑張ればいいわけではありません。
小さい頃に際立った印象を与える子どもは確かに存在します。
他の子とは違うセンスを持っているように見える子どもは注目されます。
しかし、その子がどのように成長していくのか、将来どうなるのかは、誰にもわかりません。
いつまでも地に足のついた姿勢で人生と向き合い続けることができるのか?
周りのアドバイスに耳を傾けることができるのか?
指導者との相性、チームメートとの関係性
家族のこと、ケガのこと、いろんな要素が関係してきます。
今うまい子が5年後、10年後も同世代でトップレベルにいられるかはわかりませし、逆に今は目立った活躍ができない子が5年後、10年後にスーパースターになっていることだってあります。
成長スピードには個人差がありますし、特にU-12世代になればなるほど、こうした傾向は大きいです。
親のエゴに振り回され、子どもたちらしいサッカーが許されず、ミスばかりを指摘され、その結果、自然な成長をする機会をむしばんでしまう。もちろ環境も大切ですが、友だちとサッカーを心の底から楽しむことのほうが、その後の健全な成長につながる事もあります。
選手達の一生懸命さを真摯に受け止めて、一緒に戦って、でも、その思いがふり切れてしまわないように、燃え尽きてしまわないように、保護者、私達指導者も焦らないで、焦らせないで、辛抱強くいる事が大切です。